ブロック塀の耐用年数は、長い場合には30年を超えます。しかし実際には、塀として建ってはいるものの、よく見ると、傾きやひび割れが生じているケースも珍しくありません。重要なのは、安全であるかどうかです。
この記事では、ブロック塀に関する現行の規準をもとに、耐用年数について解説します。劣化したブロック塀を放置していると、重大な事故の原因になる恐れもあるため、危険性を見極めるための情報として、役立ててください。
ブロック塀とは
一般的なブロック塀は、「補強コンクリート造のブロック塀」という正式名称で、コンクリートブロックに鉄筋を通して建てられています。安全性を確保するため、建築基準法と日本建築学会によって、設計規準が設けられています。ブロック塀を建てるときは、その規準を満たす必要があります。
ブロック塀の役割
ブロック塀は、境界を明確にして、道路や隣の家との境目を、わかりやすく示すために建てられています。また、積み上げて高さを出すと、目隠しにもなり、プライバシーの確保に役立ちます。塀があると、心理的に侵入しにくくなるといわれているため、防犯にもなります。
ブロック塀は、燃えにくい素材のコンクリートと金属で構成されているため、防火にも役立ちます。周辺からのもらい火を防ぐ効果もあります。重みや厚みがあるため、防風効果や遮音効果にも優れています。
ブロック塀の設計基準
ブロック塀には、最低限の設計規準が、建築基準法によって定められています。日本建築学会では、さらに安全性を重視した規準を推奨しています。ここでは、具体的な規準について解説します。
建築基準法
ブロック塀の高さの規準は、2.2m以下かつ厚さ15cm以上です。ただし、高さ2m以下のブロック塀の場合、厚みの規準は10㎝以上です。また、ブロック塀の内部には、径9㎜以上の鉄筋を縦横に配置しなければなりません。配置する間隔は、80cm以下です。
ブロック塀の高さが1.2m以上の場合、長さ3.4m以下の間隔で、直径9㎜以上の鉄筋を入れた控え壁が必要です。基礎の高さは35cm以上、根入れの深さは30cm以上が規準とされています。
日本建築業学会
日本建築業学会は、建築基準法よりも厳格な規準を設けています。ブロック塀の厚さや鉄筋の太さなどは、基礎の形状や地盤によって細かく定められています。
特に厳しく定められているのが壁の厚さで、塀の高さが2mまでは12cm以上、2mを超えると15cm以上です。また、縦40~80cm、横80cm以下の間隔で、直径10mmの節のついた異形鉄筋を設置しなければなりません。基礎の高さは40cm以上、根入れの深さは、35cm以上が規準とされています。
ブロック塀の耐用年数
きちんと手入れをしている場合、ブロック塀の耐用年数は、最大で30年です。厚さごとの耐用年数の目安は、15cmであれば30年程度、12cmで15年程度、10㎝は12年程度です。しかし、実際には、目安とされる年数の経過よりも早く寿命を迎えるケースが多くみられます。
ブロック塀の耐用年数が短い要因
ブロック塀の耐用年は、他の塀に比べて短いといわれていますが、それはなぜでしょうか。ここでは、耐用年数が短い要因について、具体的に解説します。
施工不良
ブロック塀の耐用年数が短いのは、手抜き工事による、施工不良が横行しているためです。たとえば、基礎をコンクリートで固めていなかったり、建築基準法の規準よりも鉄筋が少なかったりするケースもあります。
ブロック塀は、請負代金500万円未満の軽微な建築工事に該当するため、建設業としての届け出が不要です。そのため、業者が建築基準法の規準を守っているかを確認する機会がなく、手抜き工事による施工不良が発生しやすいといえます。
劣化
ブロック塀を固めているモルタルが中性化すると劣化が進み、メンテナンスをしないとひび割れが起きてしまいます。ひび割れの部分から、ブロック塀の内部に雨水が入ると、鉄筋がさびたり、腐食が起きたりします。このような状態になると、ブロック塀の強度が下がり、危険なトラブルにつながる可能性も高くなります。たとえば、ひび割れによってコンクリートがはがれたり、倒壊したりする恐れがあります。
ブロック塀の危険性
ブロック塀には、さまざまな危険性がひそんでいます。ここでは、ブロック塀の危険性について解説します。
倒壊
ブロック塀は施工不良が多く、倒壊しやすい状態になっている場合もあります。それ以外にも、倒壊の要因としては、以下のことがあげられます。
古いブロック塀
建築基準法の規準ができる前に建てられたブロック塀は、危険な状態のまま残っている可能性があります。そのようなブロック塀は、「既存不適格」に該当し、法律によって規制することができません。実際に、既存不適格のブロック塀の倒壊による事故も起きています。
耐震化の遅れ
持ち主が、ブロック塀のメンテナンスや補強が必要と理解していても、さまざまな理由により、対策が遅れている場合もあります。たとえば、隣の建物がブロック塀に隣接しており、補強の工事を実施するのが困難なケースです。また、隣地との境界線上にブロック塀が建っているため、独自の判断では撤去ができない場合もあります。
倒壊事故の責任について
ブロック塀が倒壊して被害者が出た場合、ブロック塀の持ち主は、基本的に賠償責任を負う必要があります。これは、民法717条に、土地工作物責任についての規定があり、過失がないとしても、持ち主に賠償責任が発生すると定められているためです。
犯罪
ブロック塀には、侵入を阻む効果も期待できますが、一度侵入されると、外から見えにくいため注意が必要です。侵入者にとっては好都合で、もともと人通りが少なく侵入しやすい場所であれば、侵入者に狙われる可能性があります。
危険なブロック塀の見極め方
危険なブロック塀を見極めるには、どうしたらいいのでしょうか。ここでは、危険なブロック塀の見極め方を解説します。
傾き
ブロック塀に傾きがあるのは、地盤、基礎、塀自体の、いずれかに不具合が生じている証拠といえます。傾いていると、わずかな揺れでも、倒れる危険性があります。早めに点検を行って対処する必要があります。
ひび割れ
ひび割れが生じているのは、ブロック塀の中に入っている鉄筋がさびて、膨張していると考えられます。ひび割れがあると、わずかな刺激でも、ブロック塀が倒れる危険性があります。傾いている場合と同様に、早めの点検や対処が必要です。
錆(さび)
ブロック塀の中を通っている鉄筋がさびると、細くなって折れてしまう危険があります。さびると膨張する鉄筋もあり、その場合は、ブロック塀のひび割れが、さらに大きくなる可能性もあります。
高さ
現行の建築基準法の規準では、ブロック塀の高さは2.2m以下と定められています。高さが2.2mを超えるブロック塀は、法律に違反して作られているか、かなり古いかのどちらかです。いずれのケースも、安全性に問題があります。
透かしブロック
透かしブロックが多く使用されていたり、連続して配置されていたりする場合、鉄筋が通っていない可能性があります。仮に鉄筋が通っていても、本数は規準よりも少ないと考えられるため、倒壊の危険性が高まります。
ブロック塀と同じ役割の目隠しフェンス
ブロック塀と同じ役割をもつものとして、目隠しフェンスがあります。ブロック塀よりも軽量で、たとえ倒れても、重大な事故につながる可能性は低く、安全性が高いといえるでしょう。視界を完全に遮らないため、侵入されにくいというメリットもあります。さらに、目隠しフェンスは、ブロック塀よりも材料費がかかる場合がありますが、設置費用やメンテナンス費用に関しては、ブロック塀に比べて安く済みます。
まとめ
ブロック塀には、さまざまな役割があります。しかし、法律による規準を満たしていないブロック塀も多く、危険な側面もあります。耐用年数も長くはないため、建てる際は注意が必要です。
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