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再生可能エネルギーを社会インフラへ。ドイツ出張レポート。

再生可能エネルギーを社会インフラへ。ドイツ出張レポート。

6月23日~28日にかけて、ドイツ出張に行ってまいりました。

ヨーロッパの小形風力発電機のメーカーや太陽光発電バイオマス発電のメーカーとの商談、環境先進国のドイツの視察のためです。

ドイツで感銘を受けた事。
それは、エネルギーをきちんと「インフラの一部」として捉えているという事です。

日本のFITを振り返ってみると...

日本では、2012年7月1日からスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」に基づき、太陽光発電設備が、急速・急激な普及を見せました。

そもそも「電気」とは、誰かが使うから、誰かが創り、送っています。
需要があるから供給する。そして、その需給のバランスは、常にほぼ一致します。

ところが、日本のFITにおいては、供給元である電源(太陽光発電所)ばかりが注目され、需要は置き去りにされてしまいました。

その顕著な例が供給過多のため、九州電力が系統接続を一時的に保留すると発表した、いわゆる「九州電力ショック」です。

一方、消費者側は、天候に左右される不安定な供給に対し、有無を言わさぬ「電気料金の実質値上げ」を受け入れさせられました。

少々乱暴な表現で申せば、制度が整いきらないまま、「2012年7月1日に始める」「税抜き40円/kWhとする」「償却年数を大幅に越える20年間は継続する」という3点だけが決定してスタートのが、日本のFITです。3点の「点」であり、線ではありませんでした。

やがて、競争が激しくなり、コスト削減を謳い文句に乱暴な設計や粗雑な施工が散見されるようになりました。
それを食い止める制度も無く、疑うだけの知識や見識も事業主には無く、結果として被害を受けた方も少なからずいらっしゃったでしょう。

woods

平坦な地に、広大な森林が広がっています。日本とヨーロッパでは、バイオマスそのものの根本が異なると、改めて実感しました(ホテルのベランダから撮影)。

再エネがインフラになっているドイツ

話をドイツに戻します。

ご存知のとおり、再エネ先進国ドイツも、太陽光FITで痛い目に遭っています。

そして、今はその反省の後にいます。
「シュタットヴェルケ」という言葉をご存知の方もいらっしゃると思いますが、再エネが人々の日々の生活の一部として、きちんと機能しています。

今、日本の太陽光発電に対する買取単価は下落の一途です。

この業界の、特に外販を生業として来られた方は、「さぁ、どうしよう」という状態かもしれません。

そして、そういった方々から、数多のご相談を承ってきました。

太陽光は頭打ちだ。次に何をしようか。
そうだ。買取単価の高いバイオマスだ。
早速、バイオマス発電設備の見積が欲しい。
「お待ちください」と申したい。

日本のバイオマスへの取り組みは、少々歪んでいるように思えます。
バイオマス発電とは、つまりは「廃棄物」発電ともいえます。

廃棄物が発生する。その処理過程において、電源・熱源として利用・活用する。
これが本来のバイオマス発電の姿です。

ところが、太陽光FITで美味しい思いをしてしまった日本では、「発電=売買事業」という、非常に短絡的な発想から脱する事ができません。

「バイオマス発電=売買事業」の為に、廃棄物をわざわざ作り出している。買っている。これでは本末転倒です。

太陽の恵み、風の恵み、水の恵み、マグマの恵み。
あるいは、発生する廃棄物・ゴミの有効利用。
それらすべて、生活インフラです。

太陽光が頭打ちで、次はバイオマス。
いや、バイオマスは参入ハードルが高い。
おっと、そうこうしてる間に小形風力がブームになりそうだ。

インフラの一部であるエネルギーに、順番も後先も無いのではないでしょうか。

もちろん、事業を為さるのは大いに結構です。
ですが、売電事業の表裏一体で「需要」が存在する事について、あまりにも軽視されすぎてはいないでしょうか。

太陽光も、風力も、地熱も、廃棄物も、並列すべきではないでしょう。
もちろん、そこには火力発電も水力発電も入ります。
原子力も入るでしょう。

そして、その先に、本当の「エネルギーミックス」があるのでしょう。

太陽光の「次」が何なのか、ではなく、それと並び立ち得るもの、として、社会を支えるファクターの一つとして、バイオマス発電や風力発電・小水力発電があります。

環境の為、未来の地球の為に、社会全体として負うべき負担を粛々と負う。
その一つとして「電気料金の値上げ」があるべきてあって、それは供給過多に与するものであってはならない。

ドイツでは、住宅街のすぐそばに風力発電設備を見ました。
日本では考えられない事です。
「景観が」「音が」と、恐らく不可能でしょう。
日本ではNGで、なぜドイツではOKなのか?
「インフラ」だからです。

私たちの使う電気を、私たちが創り出す。
その根本が、まさに最大の相違なのです。

もちろん、発電所の設置によって、日常生活に支障を来してはなりません。
ですが、度が過ぎたネガティブキャンペーンも、枚挙に暇がありません。

啓蒙という作業を、一ビジネスマンがすべきではありません。大変におこがましい行為です。

ですが、きちんと考え、根本を見つめ、ブームとしての売電ではなく、インフラとしてエネルギーを捉える。
是々非々で捉える。
そんな在り方を、今後も継続していきたいと考えています。

小一時間で、50基以上の風車を目にしました。タワー高やブレード長から、50kW前後の発電能力と推察します(フランクフルトからカッセルへのバスの車内から撮影)。

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